神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

消されゆくチベット

チベットの生と死の書

以前ご紹介したソギャル・リンポチェ著「チベットの生と死の書」を読んでから、今なお生活の根底に宗教が根差しているチベットの人々に興味をもった私。

渡辺一枝著「消されゆくチベット」を読みました。

沖縄と同じように、 伝統や文化の継承は風前の灯のようです。

チベット自治区自治州など「自治」というネーミングとは裏腹に、中国による監視はかなり厳しく、携帯やブログなどチベットからの送受信はすべて検閲。学校の授業や役所の書類は漢語メインでチベット語は制限され、不自由極まりない。チベット人公務員や党員は退職者も含めて、寺への参拝や自宅に仏壇を置くことも禁止。地元公安局発行の入域許可証がないと移動の自由もない。許可証は滅多に発行されることはない。天然資源は無秩序に採掘され、大量の中国人の流入により、変化を余儀なくされる生活様式・・・。

 

1959年、ダライ・ラマが中国軍に拉致されるという噂が流れ、3月10日に市民が一斉に蜂起。2008年のその記念日に僧侶たちがチベット国旗を掲げて自由を求める声をあげたものの、すぐに逮捕、暴行を受け、連行されたという。毎年3月にはどこかで中国政府に対する抗議行動があるが、先頭に立つのは敬虔な僧侶たち。そうした行動はすぐに当局によってつぶされ、拘束された僧侶たちがどのような目にあったとしても、中国政府の圧力で国内外に報道されることはほとんどない・・・。

 

権力者や体制側の視点で見れば、積極的に報道してよいのは彼らにとって差し支えない内容やプロパガンダのみ。それなら、報道されないことにこそ、注目すべきではないでしょうか。

チベットってどんな国なのか。どんな素敵な文化を持っていて、どういう人々が、どういう歴史を経て、今どんな生活を送っているのか。自ら探し出して知る努力が必要なのではないか。

彼らの現状を知ること、見守り続けること=彼らを見捨てない、諦めない、ともに生きてゆくということなのではないでしょうか。

 

消されゆくチベット (集英社新書)

消されゆくチベット (集英社新書)

  • 作者:渡辺 一枝
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: 新書