神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

映画:矢臼別(やうすべつ)物語

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一見、お寺っぽくない長谷寺。住職は元弁護士さん


昨日は糸満長谷寺で山本洋子監督「矢臼別物語」の上映会がありました。

沖縄同様、米軍や自衛隊と睨み合う北海道のドキュメンタリーです。

 

北海道の東端、根釧台地にある自衛隊の日本一広い矢臼別演習場。戦後、開拓者が苦労のすえに開拓した土地を自衛隊が買収したものですが、「自分たちで切り開いた土地だ。ここにいたい」と土地を売らずに住み続けたのが川瀬氾二さん一家でした。今まで通りに暮らし続けることが憲法の平和的生存権を体現するという、平和的な闘いです。

 

川瀬さんを慕い、近所に移り住む家族も現れました。川瀬さんが亡くなっても、支援の輪は根釧の人々だけでなく全国に広がり、演習場のど真ん中で行われる平和盆踊りを中心として、半世紀を経てなお毎年、子供から若者、お年寄りまで多世代の人々が集まってきているのです。

 

平和運動、反対運動といった市民運動は時とともにマンネリ化してメンバーも固定され、新陳代謝も悪く尻すぼみになりがちですが、この矢臼別の活動はなぜこれほど長年にわたって多くの人を惹きつけるのか。

それは、この活動が政治的な闘いに終始し参加者を疲弊させて終わるのではなく、人間的な交流の場、コミュニティとして多くの人に居場所や元気を供給しているパワースポットとして機能しているからだと思いました。

 

自衛隊と米軍の合同演習や一般道の戦車走行の監視など、夜を徹する仕事で大変ですが、矢臼別の皆さんは不思議とイキイキ活動されています。「(追跡するのは)面白いよ」と言っていたおじさんが印象的でした。

そう、楽しくなきゃ続きませんよね。平和運動は学校や老人施設より、現代や真の歴史を学べるし、街コンより個性的でイケてる人と知り合えて刺激的なんじゃないでしょうか。