神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

「あなたも私もいない」

 

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俺はどっちでもいい        タオル屋の猫店長


輪廻転生の記事を書いたばかりですが、そういうおまえは存在しないのだという本を読みました。リック・リンチツ著「あなたも私もいない」です。

 

医師であるリンチツが影響を受けたサティヤム・ナディーンという元麻薬中毒の前科者が衝撃的な序文を寄せています。すべては意識であって、意識しか存在しない。意識しか存在しないのだから、悟りを得ようとしていた人も存在できなくなると。この序文が本文のすべてを語っています。

 

存在についてのあらゆる質問も消える。なぜなら質問者も存在しないのだから。

あらゆる問題を解決しなければという義務も消える。苦しみも消える。なぜなら、苦しみの大きさは周囲の物事をどれだけ「個人」としてコントロールしたいと思っているかに正比例するから。個人という概念を信奉しなくなったときに、この上ない安らぎと自由が訪れる。そして、物語とは私という大切な観念がなくても展開し続ける・・・

 

自分は存在していないと言われても俄かには信じがたいでしょう。存在しないわけではないが、完全に存在しているともいえない、といった方がよいかもしれません。自分が自分や人生をコントロールしているように錯覚しているだけなのです。

その証拠に、誰も明確な意思をもって生まれたわけではなく、いつのまにか自意識なるものが芽生え、朝になるとはっきりした意志もなく既にベッドから起き上がっており、一日の殆どを無意識にルーティン行事としてこなしていくのではないでしょうか。足を組み替えるのも、勝手に足がやり、組み替えた後で自意識が気づく、といった方が正確ではないでしょうか。

我々の意志は本当に我々が決めているのか。我々の意識は本当に我々のものなのか。我々が意識を所有しているのではなく、意識が我々を所有している。そんな不思議なドライブ感覚に陥る本です。

 

あなたも私もいない(覚醒ブックス)

あなたも私もいない(覚醒ブックス)