三上智恵著「証言 沖縄スパイ戦史」が第七回城山三郎賞、第六十三回JCJ賞を受賞したそうです。
彼女はもともとアナウンサーで、「標的の村」などドキュメンタリー映画を撮り始め、「沖縄スパイ戦史」ももともとは映画だったのですが、映画で伝えきれなかった細部を再現するために本にしたそうです。
750ページものこの大作は、ゲリラ兵としてかり出された当時15,6歳の少年兵の証言など、戦った側からの視点で描かれた貴重な作品でしょう。
日本軍を歓待し、応援し、奉仕した沖縄の住民たちが、日本軍と密接な関わりを持ったがゆえにスパイに仕立てあげられ、殺されていく過程が見えてきます。
食糧支援や陣地構築を手伝うということは、軍の機密を知るということ。米軍が上陸してくると、日本軍は住民を互いに監視させるとともに、なんとスパイに「なりそう」な人たちを順番にリストアップして上から殺していったというのです。さんざん使われたうえに、消されていった住民たち。
三二軍の参謀だった神直道は琉球新報の取材に「沖縄戦では住民を守るという任務はなかった。住民は足手まといだった」と語っているそうです。
今、宮古島や石垣島に自衛隊のミサイル部隊や弾薬庫の配備に着手していますね。離島だから関係ないとは言っていられません。日本列島そのものがアメリカの防波堤なわけですから。そして、有事の際は自衛隊もアメリカも住民を守ってくれるだなんて能天気に信じてはいけないことは歴史の教訓でしょう。