神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

原義和監督「夜明け前のうた」

f:id:ryukyufun:20210405193651j:plain

原監督はフリーのテレビディレクターとしても活躍中


日本は諸外国に比べ、ダントツで精神病院の病床数が多いそうです。また、患者の安易な身体拘束や人権問題にもなりかねない強制的な長期入院が問題になっています。

 

私宅監置は病院に収容する代わりに自宅の一室や敷地内の小屋に精神障害者を閉じ込める制度で、1900年に制定されました。1950年に日本本土では禁止になったこの制度が、沖縄では1972年の本土復帰時まで残り続け、多くの障害者が犠牲となりました。今でもありこちに昔使用された監置小屋が残っているそうです。

原義和監督の映画「夜明け前のうた」はこの私宅監置の事実と歴史を残すために作られたドキュメンタリー作品です。

 

今頃なんでこんな昔の話を蒸し返して映画を作るのか、遺族の迷惑も考えろ、といった苦情の電話がトークイベント中にも監督のもとにかかってきます。彼はイベントを中座し、丁寧に応対していました。

私宅監置の犠牲者の殆どは亡くなっていますが、だからこそ死者の声に耳を傾け、その孤独と絶望を想像し、我々が行ってきた罪を直視するべきではないでしょうか。

隔離する側の検証でなく、隔離された側の検証として、この映画には貴重な意義があると思います。

 

隔離の犠牲者たちは人生も尊厳も奪われたままで、公的な調査や検証は行われていません。「家族の恥」「地域の恥」として闇に葬られた存在でした。こんなことが行われていたなんて、私も知りませんでした。

本当に恥ずべきは隠し続けること。この件に限らず、今の日本はなんといろいろなことが隠されていることでしょうか。農産物や魚介類の放射能汚染も、桜を見る会疑惑も、森友・加計汚職も、なかったことのようにすり替え、嘘で固めた復興シナリオを演じてます。事実の記録が無視されたり、書き換えられたり、行方不明となっています。

隠蔽した犯人たちも自分自身を欺いているわけですから、いったい何が芝居で何が現実なのかも意識が混濁しているのでしょう。手の施しようがない認知症ですね・・・。