神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

「珊瑚礁の思考」その1

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海の彼方にニライカナイ(他界)があるとされます

ユタだったり、ニライカナイだったり、御嶽(うたき)だったり、霊魂(マブイ)だったり、沖縄ってなんか独特の、神秘的な力が立ち昇る場所です。それがどういう由縁からくるのか、ずっと知りたいと思っていたのですが、とうとう見つけました!

喜山荘一著「珊瑚礁の思考」です。

 

日本列島をアジア大陸にしがみついているような位置関係で見るのではなく、太平洋に連なるメラネシアポリネシアなどの島々のひとつとして捉えようと「ヤポネシア」という概念を提起したのが作家、島尾敏雄でした。小さな島や集落ひとつひとつに大事な神話や習俗が残ってます。島は世界であり、宇宙。なんだそうです。

 

メラネシアアボリジニには「時間」という言葉がない。一直線に過去から未来へ進む時間ではなく、めぐる季節や月の満ち欠けなど、波または反復として永遠の現在の中で循環するものがあるといいます。

そして、空間は「意識」を指す。知覚が及ぶ範囲のみが空間なのではなく、そこに無意識も含むというのです。なんと豊かな感覚でしょうか。目覚めているときはそこに夢を重ねて見るのです。アボリジニのイニシエーションは睡眠時にも意識を覚醒するトレーニングから始まるそうです。

 

また、先史社会では身体が世界から分離していないので、固体という概念もなかったのだとか。だから、人に何かを物語る場合、完全にその世界に入ってしまう。もし、地名を忘れたりすると、もう物語れない。自分がいる場所に精神を残したままでは物語を語ることができないというのです。先史社会では皆さんが、ユタみたいな方だったのですね。

 

たった30ページ読んだだけでこのような深遠でワクワクする内容!自分がいる場所から宇宙大に広がる驚きがたっぷり詰まった本なので、何回かに分けてお伝えすることになりそうです。