李琴峰(りことみ)さんの「彼岸花が咲く島」を読みました。
架空の島という設定ですが、与那国島がモデルになっていると思われます。
与那国島は日本最西端で台湾が見える島。李さんは台湾出身で、与那国は台湾から一番近い日本であり、日本本島からは一番遠い端っこにある島。
国の境界にある場所のように、この島ではニホン語、ひのもとのくに語、女語といった三つの言語がキーファクターとなっています。
ある日、島に記憶を無くした1人の少女が流れ着き、島で生きるためにノロ(御嶽の祭祀を司る祝女)になるべく奮闘する物語。島は大ノロによって治められ、ノロになれるのは女性のみで、「女語」を習得しなければなりません。「女語」と島の歴史は「二ホン語」のみを話す男には教えてはならない秘密とされています。なぜ男には教えてはならないか、それが最後に解き明かされます。
風葬や祭祀、薬草、ハジチなど沖縄の風習を随所に取り入れているので、フィクションとされていても、リアル与那国とだぶって見えてしまいます。おそらく、ちょっと前までの平和な島の暮らしはこんな感じだったのではないでしょうか。懐かしく興味深く読めてしまいます。
未成年者は車じゃなくて馬に乗るのが普通。成人したらオヤから独立し、大ノロからひとり一軒家をもらう。女性も男性も婚姻にも子育てにも縛られない。小さな島だけどノロたちがニライカナイから生活に必要な物資を持ってきてくれる。大金持ちはいないけど、貧しい人もいなくて、皆幸せそう(女語と歴史をおしえてもらえない男は差別されてますが)。
沖縄の離島はどんどんジャパナイズされてつまらなくなってますから、こんな島が残っていたら、引っ越したいと思いました。