今週のお題「生活の知恵」
先日、高橋清隆氏の講演が沖縄であった。
高橋氏によると、ジャーナリストの起源はロイター社を起こしたポール・ジュリアス・ロイターである。
ウイキペディアで調べてみると、イギリス人かと思いきや、1816年ドイツ生まれのユダヤ教ラビ(司祭)の息子で、本名はイスラエル・ベア・ヨザファ(Israel Beer Josaphat)というバリバリのユダヤ人である。
1845年ロンドンに移り、 ポール・ジュリアス・ロイターの洗礼名でキリスト教に改宗する。
1848年ドイツから出国して、パリにたどり着いたユダヤ人シャルル・ルイ・アヴァスが創業したアヴァス通信社(後のAFP通信社)で働く。
同じ頃、同じドイツ生まれの息子もアヴァスで働いていたが、これが後にヴォルフ電報局を創業した、ベルンハルト・ヴォルフである。
ロイターは伝書鳩を使ってブリュッセルーアーヘン間の情報のやりとりを始めた。列車を使うよりも早い伝書鳩のおかげで、パリ株式市場の情報をいち早く入手できた。
1851年ロイターは電報を使った通信に変え、ロンドン株式市場に事務所を置く。
ボンベイ事務所を開設し、イギリスードイツ間に海底ケーブルも敷設した。
そして1870年、市場分割協定をアヴァス通信社、ヴォルフ電報局と調印し、世界を三分割する。(APは1893年にロイターと契約している)
なにやら通信社の拡散する情報で、世界を牛耳ろうとする臭いが既にプンプンである。
1871年にはロイター男爵に叙され貴族を称する。
1872年には英国統治下にあったイランのガージャール朝よりロイターに破格の利権が供与された。
ロイター利権とは、カスピ海からペルシア湾にいたる鉄道の敷設権で、路面電車の設置、石炭・鉄・石油などの地下資源の採掘、銀行設立などの権利である。
1885年にはペルシア帝国銀行がロイターに供与され、4年後にガージャール朝は同行へなんと通貨発行権だけでなく地下資源の採掘/利用権まで付与している。
一通信社が政権に入り込み、両輪となって諜報活動を行い、世論を誘導する情報を意図的に拡散し、どれほどの悪事、裏工作を行なってのし上がってきたかがわかる歴史ではないか。
生活の知恵がたっぷり