神の島 琉球RYUKYU

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「オリンピック 反対する側の論理」

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ジュールズ・ボイコフ著「オリンピック 反対する側の論理」発刊記念で訳者の鵜飼哲らによるトークイベントがありました。こういうタイトルはイベント告知しにくいのか、別の階でオリンピック関連グッズを売っているためか、ツイッターでしか告知されていませんでした。

森喜朗が会長辞任に追い込まれましたが、彼の女性蔑視発言を真っ先に取り上げ、問題化したのはボイコフだそうです。彼は元サッカー選手でバルセロナ五輪にも出た人。パシフィック大学政治学部教授で、オリンピックの黒歴史を本にまとめています。

 

その昔、ギリシャで発祥したとされるオリンピック。その復活は1894年、戦争で負けたフランスのクーベルタンが、縮こまった若者を再び鍛え直して戦場に送り込めるようにしようと、ヨーロッパの王族などに働きかけた貴族のプロジェクトだったのです。

表向きは「平和」をスローガンに掲げていたものの、競技は国別なので愛国主義を助長し、国同士の闘争心、敵対心をやたら煽る仕掛けになっています。この矛盾、違和感を感じて、オリンピックを胡散臭く思う人は多いのではないでしょうか。そもそも軍隊育成を目標としたオリンピックの元をたどれば、さもありなんですね。 

 

1936年ベルリン大会では「聖火」リレーの際に警備と称してナチスが他国に調査・介入する恰好の口実としました。実は侵略のためなのですけれど。冷静に考えれば、単なる「火」をナチスが尽力して守るわけないですよね。

今だに「聖火」と呼んで有難がっているのは中国、韓国、日本だけだそうです。オリンピックの名誉総裁は天皇ですから、天皇崇拝とも繋がるのでしょう。

 

鵜飼氏はオリンピックや令和フィーバーを「日本型祝賀資本主義」と呼び、警戒しています。為政者が大イベントによって非常事態を作り出し、徹底的な治安管理、顔認証実験などを行い、民衆を一気に統治するビッグチャンスだというのです。

 

1984年ロサンゼルス大会から企業が参入するようになり、開催費用に充てる税金が私企業に流れるという完全犯罪システムも出来上がってしまいました。

国立競技場取り壊し、神宮外苑の再開発も2020東京大会が決定する以前に決まっていたというから驚きです。他国と争って勝ち取った開催地決定も、完全に演出された出来レースだったわけですね。選手村を造った後、マンションとして売り出すなど公金を民間企業に流す回路も抜け目なくできています。

 

多くの人が反対してもなぜか止められないオリンピック。そりゃー国や企業にとっては税金をチューチュー吸い上げる美味しいビジネスですからね。そしてお約束の予算オーバー。いくらでも無限に税金から補填される。予算がアップすればするほど建設業者やセキュリティ会社など利権団体が儲かっちゃって、もうヨダレと笑いが止まらない。

2024年パリ大会、2028年ロサンゼルス大会では何が起こるのでしょうか。かの地では環境破壊、税金泥棒、巨大な監視システムを推進する大会に反対運動が激しいそうです。オリンピックの化けの皮は剥げてきているのです。

 

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