神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

沖縄と自衛隊

番匠幸一郎氏の講演

かつて、沖縄では日本軍を彷彿とさせる自衛隊に対するアレルギーは相当なものがありました。1972年に日本の統治下になったものの、米軍基地は県民に返還されず、さらに自衛隊配備が加わり、踏んだり蹴ったりの「復帰」。県民の不安や怒り、動揺という騒然とした世情の中で、自衛隊沖縄地方連絡部が編成されました。

そうした活動に携わってきた沖縄県隊友会名誉顧問、石嶺邦夫氏と、元陸上自衛隊西部方面総監陸将で丸紅(株)顧問の番匠幸一郎氏の防衛講演会がありました。

 

県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦。石嶺氏の親戚・知人に日本軍の蛮行に逢った人はいなかったのか。戦争になったら、軍は住民を守らないということを学んでいないのか。名称を変えただけの自衛隊や日本政府に対する警戒感が一切ないことが思慮浅薄だし、防衛省のおだてにのって自衛隊導入の手先になるなんて相当なお人好しなのではないかしら。

 

番匠氏は「日本を取り巻く戦略環境とこれからの安全保障」について話されましたが、

専門家らしい分析もなく、テレビで見かける御用学者みたいな一般的でつまらない解説。自衛隊幹部も聴講しているのに、こんなワイドショーのコメンテーター程度の内容で皆さん満足しているのかしら。それとも、自衛隊そのものが中学生程度の世界認識なのか。

番匠氏はお父さんが鹿児島の自衛官だったため、何の疑いもなく防衛大学校から入隊しました。八百屋の息子が八百屋を継ぐ。特に疑問はなかったようです。平成11年から米国陸軍戦略大学院に留学し、アメリカにすっかり洗脳されて帰国。その後自衛隊で順調に上りつめ、武器商人の後押し、口利きにも有能だったのでしょう、退官後は大商社、丸紅の顧問になっています。わかりやすいですね。

 

第15音楽隊による演奏もありました。なんと、いきなり「毀滅の刃」テーマソング。その後、歌謡曲、フランス映画音楽、かと思うと童謡「あんたがたどこさ」など意味不明なラインナップに驚き。今の日本社会の支離滅裂さをそのまま見事に表現しているとも言えます。

総じて、自衛隊っておじさんたちのディズニーランド、つまり夢と希望に満ちた幻想なんだなあと思いました(おばさんも少しいますが)。石嶺氏は後に首相となる中曽根氏(ミッキーマウス)と握手した、激励された、感動した、と大層お喜びでした。

 

講演会では質疑応答の時間もなく、聴衆のアンケート回収もありませんでした。反自衛隊が会場にいるなんて想像もしないのでしょう。戦争回避には「意志と力」が必要と述べていましたが、意見の異なる人と対話する意志はまったくないようです。

同様のことは反自衛隊の方にも言えることですね。お互いに反目するだけで、相手を理解しようと努力しないのです(理解=賛成ではありませんが)。そうするともうコミュニケーションは力づくになるしかないですよね。DVや戦争みたいに。