先日、原義和監督のトークイベントがあり、これは映画「私宅監置」を観なきゃと思い、行ってきました。
私宅監置とは、1900年に制定された精神障害者を自宅敷地内の小屋などに閉じ込める法的制度で、あまりにも非人道的なため1950年に日本本土では廃止になったものの、沖縄ではその後も残りました。その理由のひとつに、沖縄の精神障害者が本土の2倍にものぼるというものがあります。なぜそんなに多いのか。精神障害者の年代別推移グラフを見ると、沖縄戦時に悪夢のような幼少時代を過ごした患者がダントツに多いので、戦争のトラウマが障害の原因に大いに関係していると思われます。
沖縄戦で痛めつけられ、のちに精神障害を負わされ、小屋に隔離され、人権を奪われ、本当に沖縄住民の舐めた苦労は測り知れないものです。
地域住民に危害を加える「かもしれない」精神障害者の犯罪予防措置として私宅監置は警察管轄となり、警察のいう通りに小屋を設計します。小さな明かり取りの窓と食事を差し入れ口があるだけの、陽の当らない不潔な2畳くらいの独房。穴を開けただけのトイレもむき出しで、悪臭が酷く、顔に蝿が真っ黒にたかっていた患者もいたそうです。
この私宅監置された被害者たちの中には、精神障害はないのに盲人という理由で家畜以下の環境に閉じ込められた人もいます。まともな住民に助け出された人もいますが、多くは私宅監置中に亡くなりました。精神障害は死に至る病ではないにも関わらず。
監督は西アフリカも取材しています。そこでは住民は精神障害者を隔離せず、足を鎖でつないで一般人と同じ空間で生活させています。障害者の存在を封じ込めるのではなく、地域の医者やスピリチュアリストが治療に当たっており、障害者を抹殺する日本のやり方より人道的・健康的だと思いました。
障害者を家や地域の「恥」として隠し、暴力的に閉じ込める者こそ精神障害なのではないか。人を安易に拘束し自由を奪っても「だって病気でしょ」と何とも思わないメンタリティ。いや~恐ろしい。日本人て簡単にナチス化する、かなり危ない民族かもしれません。