今週のお題「お花見」
日本がお花見の頃、沖縄では初泳ぎのシーズンである。
海開きは4月のところが多いが、3月でも暖かい日ならウエットスーツをつけて海に入る。絶滅寸前の珊瑚の花見である。
年々白化現象が起き、いつまで鑑賞できるか心もとない。踏み荒らされて、ポキポキ折れている珊瑚を見るのも辛い。
海もだいぶ汚れてしまった。フクシマの放射性廃液も海に捨てるし、事故以前から世界中の原発から処理水が海に放出されている。海も山も産廃処理場になっている。
大地も空気もPFOSだの放射能だの農薬だのウイルス兵器だの化学物質で汚染され、最後に残る自然は、人間の手の届かない上空だけのようだ。
「この街で魚が暮らせる場所ー人間のじゃまが入らず、流れや潮がある広々とした場所といったら、それはもう空しかないってことになる」
ショーン・タンの大人の絵本の中では、大空をムーンフィッシュがゆうゆうと泳ぐ(河出書房新社「内なる町から来た話」)。
クマ法をもってクマが人間を裁判に訴える話とか、会議室の重役たちがいつのまにか蛙になってしまう話とか、カタツムリの愛の形とか。自然と切り離されて不自然に生きる人間が、再び自然を思い出させてくれるのが動物や昆虫たちである。
ファンタジーでしょ、と軽く見られがちな絵本の世界であるが、真実を語ると口封じをされたり、脅されたり、歪んだ見方を押し付けられている現実世界では、メタファーな表現が現実をわかりやすく写し取る。
ウクライナは「正義」の闘いをしているとか、WHOは世界の人々の「健康」のために頑張っているとか、ALPS処理水は「安全」だ、などと誰が本気で信じているか?
こんな嘘八百の方が真実を捻じ曲げた幻想(ファンタジー)ではないか。
幻想の海で泳ぐ我々はもう息が苦しくなってきた。早々に大空へ脱出した方がいい。