神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

牛島満の孫を「読む」

今週のお題「読みたい本」

演壇左から牛島氏、藤原氏

第二次大戦末期、沖縄を日本の防波堤として持久戦に持ち込み、無計画にも約11万人もの住民を巻き込み(軍人は約8万人)、阿鼻叫喚の地獄を呼んだ戦犯、牛島満司令官をご存知だろうか。

先日、沖縄大学沖縄戦に関するシンポジウムがあり、牛島満の孫、貞満氏も登壇するというので出かけてみたのだが、びっくり仰天・・・。

牛島貞満氏が祖父による沖縄人大量戦死と自分はまったく関係がない、祖父は祖父で自分は自分だからと、沖縄人の聴衆を前にしてハッキリ言い切ったのだ。やはりあの戦犯の孫か!?祖父譲りの下品(げぼん)なDNAを受け継いでいることが「読めて」、興味深かった。

牛島満は自分と沖縄人は関係ない、ヤマトと沖縄は関係ない、という意識があったからこそ、ヤマトを守るために沖縄人の犠牲を何とも思わなかったのだ。

まさにこの孫こそ、ヤマトの人間の典型的な標本として沖縄人は「読む」べきであるのだが。

名前の一部に祖父譲りの字があることもまるで誇り(?)のように話していたが、ヒットラーアイヒマン戦争犯罪人の家系の者は、改名しないと欧米では生きていけないし、無防備に歩いていたら殺されるから、身元を隠して生きている。

戦犯に対する姿勢が欧米と日本ではかなりの温度差があるのである。戦犯、岸信介の家系でも、日本ではむしろ家柄を誇って偉そうにしており、庶民も気にしないどころか、卑屈にもひれ伏しているのである。

特に沖縄では戦犯に異常なほど甘い。この甘さ、忘れっぽさにつけこまれ、なめられ、だから再び戦地として狙われると思わざるをえない。

若い頃、牛島氏は非難されると思い沖縄訪問を躊躇していたらしいが、お人好しの沖縄人がニコニコ出迎え、ましてや講師としてまつり上げるので、図に乗ってあちこち講師行脚しているようだ。

戦犯の孫として特に新しい内容のある話でもなく、ただの牛島戦犯の七光り(?)でしかない人物を講師として呼ぶ意味はないし、むしろ戦後も牛島の孫に逆利用されているとしかみえない図は、かなり滑稽である。

こんな浅はかな講師を有難がって呼ぶ沖縄大学って、大学として大丈夫か?とも思う。

 

毎日新聞客員編集委員の藤原健氏が戦争被害者の一人ひとりの掘り起こしをするのが使命と言っていたが、戦争被害や戦争恐怖を感情的に煽るだけでは戦争はなくならないのはこれまでの歴史が既に語っている。

戦争の悲劇がなくならないのは、国民国家が作られ、ナショナリズムが煽られ、本来自由なはずの人間が国家に縛られるようになったからだ。武器産業が国家と結託して、次々と戦争を生産するのに、国民が「資源」として使えるから便利なのである。

戦争は国同士の戦いであると我々は洗脳されているが、実態をよく「読む」と、武器商人や金融資本家が計画する毎度おなじみ自作自演の戦争ショーなのである。

こういったからくり、戦争バブルの根本を教科書に掲載し、我々の思考力を鍛える方がよほど戦争の真の根絶につながると考える。

そして何より、政治家でも先生でも、牛島満の孫みたいな「下品」を見抜く「上品(じょうぼん)」を身に着ける努力が求められる。それは本物を「読む」チカラである。

そうしないと、我々は再び牛島満を作り出してしまうのである。戦犯牛島を作ったのは我々であり、誰も関係ないわけないのである。