神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

映画「ジュリアン」「ガンモ」

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南国の葉っぱは、絵に描いたように個性的

ハーモニー・コリン監督「ジュリアン・ドンキ―ボーイ」と「ガンモ」を観ました。

ガンモ」は監督第一作。70年代半ばに竜巻にあって吹き飛んだオハイオ州ジーニアという町が舞台。ハンディカメラで撮ったような粗い質感の映像を織り交ぜながら、住民の日常をコラージュ風に撮っています。

その日常とは、空気銃で猫を殺したり、その肉を売ったり、酒を飲んだ勢いで家具を壊しまくったり、コスプレして出歩いたり、「笑わないと殺す」と母親が子どもに銃を向けたり、シャンプーしてる子にスパゲティを食べさせるとか、かなり非日常なのですが、妙に生々しくてリアル。

 

「ジュリアン」は二作目で、精神病のジュリアンと彼の一風変わった家族を中心とした物語というか、スナップ風に日常を描写。しかし、やっぱりこれが非日常的で、どこか普通じゃない壊れた人たちばかりが登場します。むしろ、人間としてまともなのはジュリアンだけじゃないか?と。

 

両作品とも、普通に狂った人間をモチーフに描いているようですが、実はこの人たちはスタンダードなアメリカ人、いや、いわゆる現代人なのではないでしょうか。

誰でもちょっと変わった癖とか嗜好とか、固執している思考とか、馬鹿みたいなところ、自己中心的な振る舞いはあると思うのですが。

素敵な恋愛映画とか冒険映画とかキレイにまとめられた作品はいろいろあるし、安心して楽しめますが、これほど強烈に「普通の現代人」の悪夢のような空虚さを見せてくれたのはコリン監督でした。

批評家の評判は真っ二つに割れたそうですが、この作品を拒絶する人というのは、たぶん、自分をそのまんま見せられているから気分が悪いし、認めたくないのだろうなあと思います。気持ちはわかります。