神の島 琉球RYUKYU

豊かで不思議な沖縄の「今」をお伝えします the journal about rich and mysterious Okinawa today

映画「野良人間」

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メキシコでは誘拐や行方不明になる子どもたちも多い・・・

アンドレス・カイザー監督「野良人間」を観てきました。

30年前メキシコの山奥で見つかった野獣のような3人の子どもたち。森に捨て子にされたのか、獣に育てられたのかわかりませんが、言葉も発せず、四つん這いで歩きます。森で隠遁生活を送る元聖職者フアンは彼らを「養育」することを決め、町の人々には内緒で家に引き取ります。

子どもたちに聖人の名前をつけ、洗礼を授け、子どもたちと心を通わせることができたように見えました。が、彼らが成長して自我を取り戻すにつれ、神の子羊の鋳型にはめようとするフアンとの間に軋轢が生じてきます。

 

タイトルは「野良人間」で獣に育てられた子どもの実話かと思ったら、むしろフアンの話でした。フアンはキリスト教に狂信的な母=獣に虐待されて育ちました。そしてフアンもまた子どもたちを虐待する獣になってしまう・・・。

 

アステカ帝国はスペインからの入植者により、先住民はカトリックに暴力的に改宗させられました。今ではメキシコの全人口の約9割がカトリックとされています。田舎の小さな町では教会が善悪を決め、人々を牛耳っているようです。

キリストは聖人ですが、キリスト「教」になると恐ろしい。

神の名を騙り、人心を操り、人々を狂わせ、国を乗っ取り、支配・君臨・虐待する「宗教」は心底警戒すべき、と思わせられたドキュメンタリータッチの映画です。